「自立」貫く生き様 ~老いと頼り方の尊重と支援~
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「子どもの世話にはならない」「配偶者の面倒は必ず自分が見る」「自分のことは最後まで自分でやる」…
そう固く心に誓い、健気に「自立」を貫こうとされるご高齢の方々がいらっしゃいます。周囲からは「ご家族や他の方に頼られてもいいんじゃないですか」と、しばしばアドバイスされるそうです。しかしその度に、彼らはみずからの生き方を改めて貫く意思を固め直す、とおっしゃいます。
正直なところ、彼らは相当な「辛さ」も抱え込んでいます。「もう限界なのに意地を張っているだけだ」「ときどき、ひとりで弱音を吐くんだよ」と、小さくつぶやかれる声は、その深層にある苦しみを物語っています。
それでもこの生き方を維持するのは、「誰かに頼ってしまったら、自分自身が崩壊してしまうのではないか」という根源的な恐れがあるからのようです。長年培ってきた生き方を変えることへの深い不安と、純粋に「頼り方を知らない」というお気持ちも透けて見えます。
【カウンセラーの冷静な視点】
永く自立を貫いてこられた方が、他人に依存する生き方に舵を切るということは、単なる生活様式の変化ではありません。それは、たとえば以下のような根源的な課題に直面することを意味します。
- 自己肯定感の再構築: 今までの「生き様」をどう肯定し直すのか。
- 関係性の再構築: 頼る人との間に、どのような新しい信頼関係を築くのか。
- 存在価値の再定義: 誰かの役に立たない自分に、生きる価値を見出せるのか。
この課題は、彼らにとって新たな人生の試練とも言えそうです。
だからこそ、心理カウンセラーとして、私は安易に「誰かを頼ったらいいんですよ」とはお薦めいたしません。なぜなら、困難を伴ってでも「自立」を貫こうとされるお気持ちは、それ自体が計り知れないほど素敵で、尊いものだからです。
その強い意志は、心身の辛さと同時に、さまざまな充実感、達成感、そして「生きている」という確かな実感をもたらしてくれています。それは、彼らの生きる力の源泉そのものであり、幸せな瞬間であるはずなのです。
心理カウンセラーとして支援したいのは、彼らが今感じている「自立を貫きたい」というお気持ち、その強い生命力です。
そして、もし、ほんの少しでも「誰かを頼りたい」という勇気の芽生えを感じられたときに備えることなんです。
その「頼りたい」と心に浮かんだ「勇気」が湧いたその時には、温かくそして丁寧に支援させていただきたい。新たな人生を歩み出すお手伝いをさせていただきたい、それこそが心理カウンセラーなんだと感じています。
投稿者プロフィール

- くれたけ心理相談室(名古屋本部)心理カウンセラー 産業カウンセラー
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こんにちは。広い空や海の開放感が大好きなものですから、
自分への日々のご褒美には、広い空間の体感かスイーツやお酒少々です。
皆さんの明日が今日よりも、明後日が明日よりもステキでありますように。
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