感情のパラドックス

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「してはいけない」「こうあるべきだ」という意識が強くなればなるほど、その裏側にある禁止された行動や感情が、かえって心の中で膨らんでしまう――そんな心のパラドックスを感じたことはありませんか。

たとえば、「怒り」という感情。

「大人なのだから怒ってはいけない」「常に冷静で、おだやかでいなければならない」と自分に言い聞かせると、どうなるでしょう。表面的には、周りの人たちといる時には不思議なほど冷静でおだやかでいられるかもしれません。

しかし、その裏で「どうしてこんなに腹が立つのだろう」と自分でも制御できないほどの強い怒りが湧いて、密やかに、あるいは一人になった時に爆発してしまう。それは、「怒ってはいけない」と抑え込められたエネルギーが、意識できないところに溜まり、現れるのかもしれません。何に怒っているわけでもなく、「怒りたくて怒っている」という感じでしょうか。

怒りは「悪」ではない

ですが、怒ることは決して不自然なことではありません。怒りとは、自分の大切にしているものが侵害された時に湧き上がる、自然な防御反応であり、状況を打開できる強いエネルギーです。おだやかさや冷静さが持ちえないエネルギーです。

また、時と場合を選んで適切に表現された怒りは、相手との間に必要な一線を引き、あるいは自分の意思や要求を伝えるための大切なコミュニケーションになり得ます。感情を伝える方法に注意を払うのは、怒りに限らず全ての感情に言えることです。だからこそ、怒りという感情そのものを否定する必要は全くないのです。

「怒ってもいい」と認めること

そして、「怒ってはいけない」という縛りを手放し、「怒りを感じてもいいんだよ」と自分自身に許可してあげると、心は楽になります。心の緊張が溶かれて、ほっとする感じでしょう。不思議なことに、そうして許可することで、その感情はほどよい強さに収まっていくことが多いのです。怒りは抑圧されずに自然に流れ、自分で制御しやすい感情へと変わっていきます。やはり、それまでの怒りは、溜まったモノが爆発していたために、激しかったのだと気づきます。

皆さんは、この「してはいけない」と抑え込めることでかえって強くなってしまう感情や激しくなる行動はありませんか?ぜひ、ご自身の心に問いかけてみてください。

お寺のソテツ

投稿者プロフィール

青木 亮
青木 亮くれたけ心理相談室(名古屋本部)心理カウンセラー 産業カウンセラー
こんにちは。広い空や海の開放感が大好きなものですから、
自分への日々のご褒美には、広い空間の体感かスイーツやお酒少々です。
皆さんの明日が今日よりも、明後日が明日よりもステキでありますように。

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