感動・感服した、先輩の言葉(くれたけ#256)

ブログにお越しいただき、ありがとうございます。今回は、感動・感服した先輩の言葉をお伝えいたします。(くれたけ心理相談室の8月のお題です。)

「お前が犯したミスは、構造的に起きるミス。構造の問題を直すぞ。」

これは、私が20代の頃に勤めていた企業のIT部門で、5つ上の先輩に言われた言葉です。

当時、私はシステムのSE兼プログラマーとして働いていました。ある日、私のプログラムにミスがあり、オンラインシステムが停止。お客様と全社の業務を止めてしまうという、大失敗を犯してしまいました。

システムエラーが起きた時、SEやプログラマーは自分のミスではないことを祈りながら、原因究明に努めるものだと思います。自分のミスだとわかった時の動揺と自責の念は、二度と味わいたくないほどの苦しさなのです。私の職場の仲間たちは、その張り詰めた緊張を知っていたので責めることはほぼありませんが、ミスを犯した者は自分を責める気持ちからは逃れられません。

そんな中、先輩が私にかけたのが、冒頭の言葉でした。

先輩は私を擁護したり、慰めたりするつもりはなかったと思います。だからこそ、その言葉は私の中に深く響きました。普通なら「なんでこんなミスをしたんだ?」と原因を追及されるところを、先輩は私個人の問題ではなく、システムの構造的な問題だと断言したのです。

この言葉は、私の視点をガラッと変えてくれました。ミスをした瞬間、恐怖や不安、自己否定の気持ちに包まれがちです。そんな時、周囲は厳しく接したり、逆にやみくもに優しく接したりしがちですが、先輩は違いました。

先輩の言葉の裏には、事実を冷静に見つめる大人の心がありました。感情的にならず、目の前の課題を客観的に捉え、解決しようとする姿勢。その先輩も多くの同僚たちも同じようにシステムエラーを経験してきた中で、先輩が導き出した結論だったのかもしれません。

あの時先輩が教えてくれたのは、問題が起きた際の心の動揺を、事実に目を向ける冷静な心へと転換させることでした。さらに、問題を個人の責任としないことの大切さでした。私はこの言葉を今でも大切にしています。ミスを犯して苦しい気持ちの私を救ってくれたのは、暖かさではなく冷静さだったことは、とてもすばらしい学びでした。

朝日登る

投稿者プロフィール

青木 亮
青木 亮くれたけ心理相談室(名古屋本部)心理カウンセラー 産業カウンセラー
こんにちは。広い空や海の開放感が大好きなものですから、
自分への日々のご褒美には、広い空間の体感かスイーツやお酒少々です。
皆さんの明日が今日よりも、明後日が明日よりもステキでありますように。

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