名も知らぬ人と話して楽しむ

「お宅のワンちゃん、何てお名前ですか?」

犬を散歩していると、犬を散歩している人からこう尋ねられる。
私からも尋ね返す。
お互い人間の名は名乗らない・尋ねない。不思議である。

こうして、人間同士の「犬仲間」の距離は近くなり、人数も増えていく。
年齢やら性別やら、ちゃんとは知らないが、明らかに様々である。
職業や家族構成など、知ることはあまりない。知らせることもあまりない。

いろんな飼い主がいます(私も含めて)、いろんなワンちゃんがいます。
話が盛り上がったり、しばらく一緒に歩いたり、挨拶だけだったり。
飼い主さんやワンちゃんがいつもと様子が違えば、お互いにちょっと気にする。
いつもと同じ様子であれば、それ以上はあまり気にならない。

この関係がいい。ゆる~く楽しい、嬉しい。
散歩していると、たまたま会う。毎日のように会うときもあれば、
何カ月も会わないときもある。ちょっと心配になる…相手もそうかもしれない。
久しぶりに会えば、「お久しぶりですね」とちょっと安堵する。

駆ける白い犬

会社や学校、家庭などでは、お互いに関係があって、求められる役割がある。
なくなると寂しいだろうし、生きる意味を問い直さねばならないかもしれない。

だからこそ、

犬と一緒にいるときだけ、年齢とか性別とか無関係、単なる雑談だけ、
たまたま会った時だけ、何者でもない・友でもない、

そんな特殊な人たちが、わたしのこころを大いにおだやかにしてくれる。

表立っては言ってはいけない気持ちをつぶやきたくなる、「ありがとう」。

投稿者プロフィール

青木 亮
青木 亮くれたけ心理相談室(名古屋本部)心理カウンセラー
あなたのお気持ちや物語などを、私にぜひ、きかせてください。

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