流れに身を任す ≒ 負かす
老親に頻繁に説く台詞があります、「昔とは違うのだから」。
長男が跡を継ぎ、親と同居する。
妻は嫁として家と親の面倒をみる。
男の子は優秀な大学を出て一流の企業に入り、その会社で出世を目指す。
社会がそんな風潮であり、親たちもそんな環境で働き、
そんな社会に囲まれ、そんな親たちに育てられて、
わたしたち子どもはそれを当然なことと、自然に受け止めました。
でも、今、その自然に受け止めたことはいずれも、そうはなりませんでした。
親にとっては不本意だったろうと気の毒に思います。なぜなら、
私だって直前までそうなる・そうするつもりで、その都度残念に感じましたから…。
自分の意思や思いで変えたというよりは、
変化した社会の中で、やむを得なかったから。
変化に適応したというよりは、変化にあらがうも勝てなかったんです。
成人した息子に、時々意識的に言う台詞があります、「納得いく人生を歩めよ」。
息子の幼き頃、親の価値観や知恵をさんざん授けたつもりです…それはもう、鬱陶しいくらい。
でもそれらは、彼らには前時代的だったろうと感じます、たった一世代しか違わないのに…。
どうするとよいのか、どうなるとよいのか。成長した子どもにはもう何も教えられません。
(それどころか、最新・未来を歩む若者から、教えてもらいたいくらいです。)
息子も、変化という流れの速い時代に生き、いずれ歳をとる。
人生をふりかえったときに、納得がいく人生であってほしいと、ただただ願います。
わたしが、息子の人生をどう思うかなんて、どうでもよいことですから。
私のここまでの人生をふりかえってみると、
変化に一生懸命あらがったことに、一定の納得感をもちます。
でも、まだまだ人生半ば。流れにあらがいつつも身を任せ、負かせて、
納得して進んでいきたい、身をゆだねたいと思います。
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