組織人の葛藤:正しいこと?/嫌われないこと?

想定してください。
あなたは、ある問題に対して組織の方針を決める場面に、今から参加します。

既に、あなたには薄々分かっていることがあります。
あなたの推す方針は、他のメンバーたちと反しています。
そして、他のメンバーたちは同じ方針を推しています。
他のメンバーたちは、あなたの推す方針を知ならいようです。
メンバーはあなたを含めて4名です。
さぁ、あなたたちは順に意見を表明し、議論をはじめます。

ここで問いです。「あなたは、自分の意見を表明しますか。しませんか。」

2面のお面

このような場面では、自分の意見を表明しないケースが圧倒的に多いようです。*
日本人に限ったことではなく、アメリカ人でも…です。

人には正しい/するべきことを行う欲求と、人から好かれたい欲求があり、
上の場面ではこれが葛藤します。そして、人から好かれたい欲求はかなり強いのです。

自分だけ違う意見を言うことで他のメンバーから嫌がられたり、変な人と思われたり…
ネガティブな感情を抱かれると想像するだけでストレスになります。場合によっては、
自分の意見に自信を失って、「きっとみんなが正しい…」なんて無理にこじつけます。

メンバーとの間では心地よさを感じられる一方で、自分の内面をだます…不快なのです。

 

ただ、「正しい/すべきことを行う欲求」を高める方法もあります。
それは、他のメンバーより前に、自分の意見を表明することです。
発言してしまえばそこには責任が生じ、好かれたい欲求だけでは撤回できなくなります。

また、議論する問題や方針について、他のメンバーよりも自分の責任を重くすることです。
方針実行への関与度を高めること、例えば、責任をもって解決するという覚悟を併せ持つことで、
好かれたい欲求よりも正しい/すべきことを行う欲求の優先度を高めやすくなります。

上席者が会議の冒頭で自分の意見を表明することは、まさにこれに当たるのでしょう。

 

組織では、いろいろな側面から総合的に判断し、とるべき言動を選ぶことが求められるでしょう。
つまり、組織人は常にいろいろな葛藤をしています。
そこで重要なキーワードは「協調」かもしれない…と思うところです。

青空

*:人から圧力を感じて自分の意見を変化させることを、同調すると言います。

投稿者プロフィール

青木 亮
青木 亮くれたけ心理相談室(名古屋本部)心理カウンセラー
あなたのお気持ちや物語などを、私にぜひ、きかせてください。

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