とにかく生きて。死んじゃダメ。(母の叫び)

子どもが母より早く逝く、しかも若くして逝ってしまう。
突然の病気や事故、事件などの、
理解に苦しむ、受け入れがたい事態で亡くなったケースでは特に、
お腹を痛めて生んだ母の傷は、筆舌に尽くしがたいようだ。
(男が、私が、その気持ちを理解しているなどとは、到底申し上げられない)

カウンセリングの場で、苦しみを言葉で表現されようと努めても、
抱えている気持ちを言葉ではうまく表せないことも多い。当然のこと。

そんなひとりの母が、自分の気持ちをこんな風に吐露する場面に出逢った。

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理不尽な事件で息子さんを亡くされた、初老の母がいた。
職場の人間関係に心を痛める、ひとりの若者がいた。
彼女は若者に、力を込めて、声を上げて、こうおっしゃった。

とにかく生きて。死んじゃダメ。あなたが強くても弱くても、良くても悪くても、そんなことどうだっていいから。とにかく生きなきゃダメ。私もそうだけど、家族や周りの人は絶対に悲しむんだから、絶対つらいんだから。そもそもあなたがそんなに苦しむことはないんだからね。
苦しかったら私のところに来て、支えてあげるから、何とかしてあげるから。もう誰も、こんな思いをしてはいけない。私は絶対止めるから。絶対に、絶対に止めるから。ねっ分かった!

 

彼女の言葉がその若者にどう響いたか、それは推し量り切れなかったけれど、
その若者はやや困ったような顔をして、彼女に微笑みかけていた。
その若者は彼女の姿から、母のあたたかさや強さを感じ、再び上を向けたように思えた。
いざという時には若者のこころを支え、実際に支援を受けるかもしれないと思った。

レンゲソウの花の群れ

心理カウンセラーはこの母のような仕方で支援しないけれども、
生きる選択・死を選ばない選択を最重要視して支援する点は同じである。
もし、死を考えるような、死がよぎるようなことがあれば、そういったご家族がおられたら、
どうぞお声がけください。あなたに寄り添い、支援させてください。

※補足
自らの命を絶つことについて考えたり反芻(はんすう)することを、「希死念慮(きしねんりょ)」と言います。一部の精神障害の症状として現れることがありますが、精神障害がなくても辛い出来事や有害事象に反応して発生することもあります。
希死念慮を持っている人の多くは自殺企図(自殺を計画・行動すること)までには至りませんが、自殺のリスクファクターとは考えられています。もしこのような気持ちを抱えている場合は、あるいは抱いている身近な方がいる場合は、専門家にご相談することをお薦めします。この場合の専門家は、精神科医や心理カウンセラーに当たります。

投稿者プロフィール

青木 亮
青木 亮くれたけ心理相談室(名古屋本部)心理カウンセラー 産業カウンセラー
こんにちは。広い空や海の開放感が大好きなものですから、
自分への日々のご褒美には、広い空間の体感かスイーツやお酒少々です。
皆さんの明日が今日よりも、明後日が明日よりもステキでありますように。

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