
〜カウンセリングとは―心に耳を傾ける時間〜
「カウンセリングって、どんなことをするんですか?」
そんな質問をいただくことがあります。
たしかに、カウンセリングという言葉は耳にする機会が増えましたが、その中身はまだあまり知られていないかもしれません。
カウンセリングとは、心の悩みや困りごとについて、専門のカウンセラーと話し合いながら、自分の気持ちや考えを整理し、よりよい方向へ向かっていくための対話のプロセスです。
一方的にアドバイスを受ける場ではなく、カウンセラーとの関係性のなかで、少しずつ自分の内側にある声と出会っていく……そんな「対話の時間」なのです。
対話がもたらす「気づき」と「自己理解」
カウンセラーは、話の内容を評価したり、ジャッジしたりすることはありません。
あなたのペースに合わせて、感じていること、考えていることをていねいに聴かせていただきます。
そして、その中からあなた自身が「本当はどう感じていたのか」「どこに引っかかりがあるのか」に気づいていけるよう、伴走していくのがカウンセラーの役割です。
カウンセリングでは、自己理解を深め、心の整理をしながら、変化や選択のヒントを見つけていくことが目指されます。
この「気づき」や「自己理解」は、臨床心理学においても重要なプロセスとされています。
問題解決を急ぐというよりは、その人の生き方や価値観に寄り添いながら、より良く生きていくための可能性を一緒に見つけていく…そういった丁寧なアプローチがカウンセリングの特徴なのです。
専門的であっても、人と人との関係
カウンセリングは、専門的な訓練と継続的な学びを重ねた人が行います。
たとえば私は、産業カウンセラーなど3つの機関から心理カウンセラーの認定をいただいています。また、進化を続ける心理学や臨床心理学、カウンセリング技術等について、学びと訓練を深めています。
ですが、資格や知識以上に大切なのは、「この人には話しても大丈夫かもしれない」と感じられる関係性です。
安全で安心できる場であること、その中で本音を少しずつ言葉にできること。
それが、心の回復や変化のきっかけになります。
最後に――「話してみる」ことの意味
カウンセリングって、「誰かにちゃんと話を聴いてもらえる」場所です。
それは、ただの雑談とはちょっと違います。
「こんがらがった気持ちを、一緒にほぐしていく」そんな時間。
何かを解決するためじゃなくてもいい。
自分のことを話しているうちに、少しだけ心が軽くなる。
それだけで、明日を過ごす力が、ほんの少し湧いてくることもあるようです。
ほんの少し湧いた力がきっと、明るい未来を照らしてくれるのだと信じています。